「フィンドホーンの想い出」その1

 フィンドホーンという地名は前から気になっていたが、一冊本屋で目についたのを買い、その後何冊か続けて読んでいるとどうしても行ってみたくなった。これはサイババの時と全く同じである。行く前に周りの人にかなり尋ねたのだがフィンドホーンを知ってる人は精神世界に詳しい数人だけだった。また旅行書を見てもフィンドホーンについてはほとんど書かれていなかった。幸いなことに読んだ本の中に詳しい資料があったのと、インターネットにその内容が詳しく書かれていたのですぐにメールを送った。一週間プログラムがベストだったが残念なことに土曜〜金曜という滞在は無理だったので4泊5日という日程を立て、フィンドホーンの前にニューヨーク二日、後にロンドンとサンフランシスコをそれぞれ一泊の強行スケジュールを決行した。
 1999年9月25日、夕方の便でニューヨークを出て早朝ロンドンについた後、5時間のトランジットを半分に短縮することができた。しかしアバディーンに着いた後タクシー、1時間50分ほどの列車、そしてまたタクシーと乗り継がなくてはフィンドホーンに到着しなかった。予約して於いた宿、ミントンハウスには予定より早く着いてしまったせいか誰もいなくて、番犬の出迎えを受けた後30分待った。ようやく人が現れてインターネットでした予約も確認されて、部屋にはいることができたがここのロケーションはすばらしい。前には一面の芝生と林、後ろには浅海のフィンドホーン湾が迫っておりどの部屋からの見晴らしもいうことなし。しかも瞑想室、グランドピアノのあるホール、図書室、広いバスルームなど自由に使える。ただし全館ノースモークなので僕はハッピーだけれどもたばこを吸う人は注意。
 早速目的であるフィンドホーンコミュニティーのビジターセンターに行き、一日ビジターの予約をした。地図を持っていかなかったので少し迷って隣のうちにはいってしまったりした。昼食と夕食、そして午前9-12時、午後2-5時のワーキング参加で12ポンドだ(1ポンド=¥200弱)。一回の食事が4ポンドだからまあ日本と同じくらいだろう。この後ミントンハウスでは朝食以外はとれないことがわかったのでビジターとしての滞在を3日間延長してもらった。そしてその日は紹介してもらった村のパブに行き、ビールと恐ろしいほどの量のチキンを食べ、この10日ほど続いた睡眠不足を癒すべく何と12時間の眠りについた。

(フィンドホーンにあるミントンハウス)

「フィンドホーンの想い出」その2 

 ワークの第1日目は残念ながら雨。ガーデンに行くと合羽がないからだめといわれ、引き返してキッチンへ行った。慣れない包丁を使い、チーズ詰めなどを手伝い大変だったが、ティータイムに所々音のでないピアノを弾いていたらみんな集まってきてコンサートになった。音のでない鍵盤を弾かないようにするとそこへばかり神経が集まり重労働だ。でも楽しかった。昼食後はまあ何とあんなに寝たのにかかわらず1時間半も昼寝をしてしまった。靴も靴下も雨のせいで湿っているのでどうも外には出にくい。
 夜はミントンハウスでヨガのコースがあったので参加した。最初、道具がないので止められそうになったけれど、宿の人にマットや毛布を貸してもらい無事終了した。インストラクチャーは女性で言葉が実にはきはきしていていいリズムを醸しだし、それでいて流暢で表現力がある。意味は悲しいかなせいぜい半分ぐらいしか解らなかったが周りを見ながら出来るので問題はなかった。瞑想の時のリードもすばらしかった。「お礼は」と聞いたら、ウィンクして入らないと言う。パンフレットに名前と住所が載っていたので日本に帰ってからCDでも送ろうと思ったがいまだに送っていない。昼寝をしたにもかかわらず、この日も9時間、ぐっすり寝ることが出来た。
 2日目はいい天気だったのでガーデニングに参加出来た。「ジェイ」というはきはきした女性のもとで、土を運んだりなめしたり、また非常に小さい種を、一つづつ穴を掘って植える作業もした。昼食後はコミュニティーの中を歩き回り、ジェネラルオフィスで今日明日のスケジュールを調べた。すぐ隣に空港があったがこれは軍用空港だそうだ。ジョギングのあとバスタブに浸かったが、シャワーがないのでどういう風にして体を洗い、また石けんを流すのかいまだに謎だ。僕は頭も体も湯ぶねの中で洗い、そのあと別のシャワー室に行って流した。夜はちょっとピアノを弾いたりしたが、他にすることもないので9時に寝てしまった。

「フィンドホーンの想い出」その3

 3日目はさぞ早く目を覚ますだろうと思っていたが7時までしっかり寝た。水辺にでて朝陽を見る。朝も夕も本当に美しい。時間がたっぷりあるので存分にヨガや瞑想をする。だが内容はあまり充実していない。朝食後またガーデニングに行ったが、この日はホーレンソウ刈りだった。作業は初めてだったので少しきつかったが楽しかった。1週間体験プログラムの最終日だったので少し早い目に切り上げてミーティングに移った。僕はshort term guestなので本当は参加資格はないのだが、この際図々しく参加して感想まで述べさせてもらった。みんなで順番にカードを引いたが、僕のには「Release」とでていた。これまでのくろうから「かいほう」してくれるのだろうか?
 昼食後はすることがないので瞑想ヨガの後ガーデンの散歩に出かけた。しかしそれまでのいい天気が崩れ、丁度温室に入っている時に雨が降ってきた。すぐにやると思っていたので、リラックスして歌を歌ったり、ぶらぶらしていた。その時自然に新しい歌が浮かんできた。小降りになってきたので近道を通って帰ろうとしたら、大きなビニールハウスがあったので、何となく入った。そこにはトマトや美しい花々があふれるばかりに身や花をつけ、見物客をうならせた。見とれているうちに再び雨が降り始め、今度は嵐のような雰囲気になった。少し音がしたなと思ったのだが、後で、入り口のドアをロックされ、閉じこめられたことが判明した。しばらくは中でじっとしていたが雨もやみそうにないので、入り口におかれた重しをなんとかどけて宿に帰った。
 手帳に五線紙を書き、音符と歌詞を一応完成させて夕食に行った。一人で食べていると13年前に南アフリカから来たというおばあさんと一緒になり、いろいろ話をした。宿に帰ってさっきの曲のことをいろいろ考えているとピアノを弾きたくなってきたのでしばらく弾いた。誰もいないと思っていたら夕食を一緒にどうですかと誘いに来たので驚いた。
 8時からUniversal Hallというところでコンサートがあるというので行ってみた。ギターと歌、アコーディオン、ヴァイオリンという編成で、West Coastから来たらしいがアメリカかイギリスかどっちかわからない。しゃべりが多くしかもほとんどわからない。僕だけではなく客の大半もわからないようだ。最初は珍しくおもしろかったが、第2部ではほとんど寝てしまった。帰りの真っ暗闇の道ではあまりにも夜空が美しいので感動した。星がいっぱい!しかもじっと見ていると少しずつ動いていくのがわかる。
 明朝の出発が早いので目覚まし時計を借りて、6時にタクシーが来るように呼んでもらった。丁度この時間だと2時間に1本ぐらいしか電車がなく、次の列車だと出発の25分前に駅に着きそこからまたタクシーで10分ぐらいかかるので、大事をとって早い目にした。空港に早く着いたので一つ前に変更してもらおうと思ったが、こちらが要望する前にもう手続きされてしまっていた。当夜のロンドンのホテルのミスブッキングといい、この後は不親切が当たり前だということを実感した。というより、ああいうコミューンの中にいると、みんなが同じような波長を持っているので、すぐ友達にもなれるし、お互いに親切になれるのだ。この後予約は入っているが部屋はないと追い出されたロンドンにも別れを告げ、サンフランシスコに10数時間滞在し、バンジョーのチャーリー田川さんと夕食をとりながら、いろいろ宗教関係の話をした。そして次の日には、フィンドホーンの想い出を心に残して成田行きの飛行機に乗った。   終わり。